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有翼人の研究

古今東西にある翼を持つ人間のイメージについての考察

何かと翼と縁がある、蛇の髪のゴルゴン(ゴーゴン) 

当ブログと一見全然関係ないが、最近『キング・コング』に凝っている。

『キング・コング』

ゴリラの発見は1847年。つい最近だ。そこからどのように一般的になっていったのかを調べようと思って『世界動物発見史』ヘルヴェルト・ヴェント 平凡社)を読んでいたら、ゴルゴンゴーゴン)はゴリラだったという説が載っていた。

20世紀のはじめ、動物心理学者のテオドール・ツェルは古代の神話を調べあげ、巨人キュクロプスサイクロプス)一族もゴルゴンもゴリラだという奇抜な説を発表し、世間の話題をさらった。『世界動物発見史』の著者は、この説は不自然さを感じるが賛成できる点もあるとしている。

キュクロプスは「丸い目」という意味である。ゴルゴンはゴリラのような犬歯をもった怪物として描かれていて、ヒョウを絞め殺すという、ゴリラでなければできない離れ業をやってのける。

ゴルゴンというとこのようなイメージかもしれない。

「メドゥーサの美」

だが、紀元前6~7世紀頃にはこのような姿だ。

ゴルゴン

ゴルゴン2

ゴルゴン3


有翼人を色々見ているとがよく出てくるし、ゴルゴン自体が有翼人として描かれている場合もある。ゴルゴンを倒したペルセウスは翼の付いたサンダルをはき、ゴルゴンの血からは翼のある馬ペガサスが生まれた。と翼は何かと関係がある。

神話に出てくるスフィンクス、グリフィン、人魚などの奇怪な動物や半人半獣は何かの象徴だと思っていた。だが、動物学上の真実がわずかながら含まれていると『世界動物発見史』には書いてある。太古の化石や、アザラシとかセイウチ、騎馬民族や類人猿との最初の出会いは詩人たちの想像力を刺激した。

世界動物発見史世界動物発見史
(1988/08)
ヘルベルト ヴェント

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ゴルゴーン - Wikipedia
ペルセウス - Wikipedia
キュクロープス - Wikipedia
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Posted on 2013/10/06 Sun. 04:46 [edit]

category: 西洋・神話伝説宗教

tag: ギリシア神話   
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羽民 


羽民
『山海経』 第六南経 羽民国


『山海経』は著者も作られた年代も不明だ。古代中国の空想的な動物、異形の神々の不思議な絵が色々載っていて、儒教が隆盛してくると異端視されるようになった。どのような本なのか調べようと思ったが、国名、書名、人名が複雑で分かりずらい。詳しいWebサイトの方でさえ、「ほんというとわたくしにも良くわかんないの、わははは」と書いているくらなので、やはり簡単ではないのだろう。(参照 山海経動物記

『山海経』高馬三良訳 平凡社ライブラリー)の水木しげるの解説からまとめると、日本では邪馬台国が滅亡したばかりの千七百年前に、すでに北はシベリアから南は東南アジア、西はペルシャから東は日本までを網羅した、神話と歴史と風土記と妖怪絵巻をいっしょくたにしたような辞書だそうだ。

その『山海経』第六南経に羽民国なるものが載っていて、「その人となり長い頭で身(からだ)に羽がはえている」とある。

羽民は日本の本にも載っている。絵に違いがあって興味深い。

『異国物語』 野田庄右衛門 万治元(1658)年
羽民、テイ人を巡る世界図の話東京人形倶楽部あかさたな漫筆
異国物語 長脚国・長臂国・羽民国国立国会図書館デジタル化資料

『和漢三才図会』 寺島良安 正徳三(1713)年
和漢三才図会 巻第十四 羽民・近仏・文身・大漢九州大学デジタルアーカイブ

山海経―中国古代の神話世界 (平凡社ライブラリー)山海経―中国古代の神話世界 (平凡社ライブラリー)
(1994/01)
高馬 三良

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山海経 - Wikipedia
和漢三才図会 - Wikipedia

Posted on 2013/10/03 Thu. 21:51 [edit]

category: 東洋・神話伝説宗教

tag: 中国  日本 
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ベックリン「セイレーン」 


388px-1875_Boecklin_Sirenen_anagoria.jpg
”Sirens”(1875)


ベックリンと云えば「死の島」が有名で、「ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像」がすごくかっこいいのだが、調べてみると色々ユニークな絵がある。

有翼人でも脚が鳥だったりそうでなかったりするが、このセイレーンは翼がなくて脚が鳥だ。翼がなくても脚が鳥なら、誘惑する妖女という属性になるのだろうか。

アルノルト・ベックリン - Wikipedia
(Arnold Böcklin 1827-1901)

Posted on 2012/09/23 Sun. 23:28 [edit]

category: 西洋美術

tag: セイレーン 
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オリンピアのニケ 

NikePaionios.jpg裸の男や子供の有翼人は見かけるが、胸を露出した女性の有翼人なんて見たことないと思ったピエロ・ディ・コジモの「アレゴリー」。他にもあった「勝利の寓意」「牛を殺すニケ」というのもあった。

さらに他にもあった。サモトラケのニケは露出していないが、オリンピアのニケは片方露出している。5世紀末に作られ、1875年にオリンピアでの発掘調査で発見されたもので、スパルタへの勝利を表しているそうだ。


参照したサイト
Παιώνιος

ニケについて調べていて見つけた、かわいいバービーのニケ。
Barbie Redux Doll

Posted on 2012/03/15 Thu. 02:18 [edit]

category: 西洋・神話伝説宗教

tag: ニケ  勝利  ギリシア神話  ローマ神話 
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デュラックの『テンペスト』の挿絵 

テンペスト1テンペスト2
テンペスト3今回はシェイクスピアの戯曲『テンペスト(あらし)』についてではなくデュラックの挿絵についてなので、あらすじ等は省略。戯曲、デュラックについてはこちら。

テンペスト (シェイクスピア) - Wikipedia
エドマンド・デュラック - Wikipedia

これに出てくるエリアル、エアリアル、エーリアルは空気の妖精で、海の精ニンフやハーピーと色々変身する。人魚や空気、というのは有翼人について見ているとよく出てくる要素だ。

Posted on 2012/01/30 Mon. 01:43 [edit]

category: 西洋美術

tag: イギリス  フランス  ハーピー    人魚 
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知切光歳の天狗の本 

天狗列伝


 古本屋で『圖聚天狗列伝 西日本編/東日本編』をたまたま知った。大きく厚い本で、ぱらぱら見ると銅像など面白い図版がある。いつか欲しいが、高くて気軽には買えない。図書館にもない。

 同じ著者知切光歳の他の本は図書館で借りたので、これから扱っていく。

天狗の研究天狗の研究
(2004/08)
知切 光歳

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天狗考〈上巻〉 (1973年)天狗考〈上巻〉 (1973年)
(1973)
知切 光歳

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図聚天狗列伝〈西日本編〉 (1977年)図聚天狗列伝〈西日本編〉 (1977年)
(1977/01)
知切 光歳

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図聚天狗列伝〈東日本編〉 (1977年)図聚天狗列伝〈東日本編〉 (1977年)
(1977/06)
知切 光歳

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Posted on 2011/12/25 Sun. 00:00 [edit]

category: 東洋・神話伝説宗教

tag: 日本  天狗 
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キバガ 

 アフリカには何かないものか探していた。『飛行の古代史』 (ベルトルト・ラウファー 博品社)によれば、ヘンリー・モートン・スタンリーの『暗黒大陸』にウガンダの有翼戦士の記録があるようだ。興味深いことに白鳥伝説にもなっている。

 ウガンダのいにしえの王、ナキヴィンギ王の英雄たちの一人に空を飛ぶ能力を持った戦士キバガがいた。ワンニョロ族との戦いのとき、王は敵の居場所を確認するためにキバガを空に遣わした。キバガに発見された敵は地上から攻められ、上空からも大きな岩を浴びせられ、大勢なぎ倒された。
 キバガはワンニョロの捕虜の中の美女を見初めた。ナキヴィンギ王はキバガに恩義を感じていたので、その女を妻として与えたが、ただし彼の力の秘密を彼女に知られないようにしないと彼女はお前を裏切るだろうと忠告した。
 結婚後も妻はキバガの力について何も知らなかったが、彼が突如消えたり現れたりするのを不審に思い、見張ることにし、キバガの飛行を目撃した。
 彼女は、ワンニョロ族の者たちがナキヴィンギの槍攻めよりも空からのなんらかの攻撃で殺された者が多かったのを思い出し、ワンニョロ族にキバガのことを伝えた。ワンニョロ族は復讐するため、あらゆる小高い丘の頂に弓の射手を待ち伏せさせ、空を見張ってキバガの翼の羽ばたきに耳を澄まし、何か見えようが見えまいが音のする方角に向かって弓を射るようにと指示を出した。これにより、ある日ナキヴィンギが戦に出征したとき、キバガは一矢を受けて傷つき、死んでしまった。

 世界教養全集23(平凡社)収録の『暗黒大陸』を確認したところ、上記の話は載っていなかった。『暗黒大陸』は『飛行の古代史』では1871年、世界教養全集23では1878年となっていて、訳されていない部分があるのか、スタンリーの別の本に載っているのか、何か間違いがありそうだ。ただ、ウンヨロの現地人がウガンダ軍の食糧徴発隊に向かって「鳥みたいに飛べないなら、おぬしらは帰れやしねえぞ」とわめいたとあるので、飛ぶ人間という発想はあったのかもしれない。

参考文献
『飛行の古代史』 ベルトルト・ラウファー 博品社
世界教養全集23(平凡社)

Posted on 2011/12/12 Mon. 18:18 [edit]

category: 西洋・神話伝説宗教

tag: アフリカ  白鳥伝説 
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天狗 

about_tengu.jpg
尾山 藥王院のHPより

he13_01571_p0006.jpg
古典籍総合データベース [敵討【クラマ】天狗]より


今まで天狗について書いていないのは、別に興味がないとか気づいていないわけではなく、謎が多くてうまくまとまらないからだ。図像も少ない。鼻の長い大天狗猿田彦に、クチバシのある烏天狗迦楼羅天に似ている。

Wikipediaの記述だけでもかなり長い。
天狗

天狗について詳しいサイト
天狗について
天狗覚書

こんなのはありました。
「Tengu?」

Posted on 2011/08/18 Thu. 21:00 [edit]

category: 東洋・神話伝説宗教

tag: 天狗  日本 
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モンスの天使 


モンスの天使
W.H. Margetson "The Angels of Mons"


第一次大戦中の1914年8月、ベルギーのモンスで、英仏連合軍がドイツ(プロシア)軍と激しい戦闘を行っていた。連合軍は装備も兵力も圧倒的に有利なプロシア軍に包囲されたが、天使が現れて、脱出、撤退できたという。ドイツ兵の中にも天使を目撃したものがいて、作り話や幻覚ではないことは明らかと、『決定版 天使と悪魔図鑑』綾波黎 学研)には書いてある。ただ、ムー系の本なのだ。

絵が美しいので気になり、調べてみると、『怪奇クラブ 』『夢の丘』『白魔』アーサー・マッケンが関わっていた。

モンスの天使 - Wikipediaより引用

第一次世界大戦中、イギリスの守護聖人である聖ジョージがベルギーの戦場に現れてイギリス兵を助けるという作品「弓兵」(The Bowman)を、1914年9月29日『イヴニング・ニューズ』に発表すると、戦場におもむくイギリス兵士や一般の人々がこれを本当の話だと思い込み、実際に弓兵を見たという噂まで飛び交った。マッケンは作り話であることを表明したが、噂はますます広まるばかりとなった。後に「弓兵」が収められた短篇集は、マッケンの生涯で唯一のベストセラーとなった。


神智学協会の会合での発言が発端で「事実」として流布されたとか、フランス人はジャンヌ・ダルクの天使だと主張したとか、小説が発表される前から事件の噂はあったとか、よく分からない。20世紀の話でこのありさまなのだから、長い歴史の中では色々な物事が錯綜していることだろう。

British Painter William Henry Margetson (1861-1940) ~ Artists and Art


決定版 天使と悪魔図鑑決定版 天使と悪魔図鑑
(2009/02)
綾波 黎

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怪奇クラブ (創元推理文庫)怪奇クラブ (創元推理文庫)
(1970/06)
アーサー マッケン

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夢の丘 (創元推理文庫 (510‐2))夢の丘 (創元推理文庫 (510‐2))
(1984/09)
アーサー・マッケン

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白魔 (光文社古典新訳文庫)白魔 (光文社古典新訳文庫)
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アーサー マッケン

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Posted on 2011/07/21 Thu. 00:40 [edit]

category: 西洋・神話伝説宗教

tag: 天使  ベルギー  イギリス  フランス  ドイツ 
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カイロス 


カイロス


カイロス2


カイロスギリシア語の<機会>が神格化した男性神。前髪は長いが後頭部が禿げた特徴のある髪型で、「チャンスの神は前髪しかない」という格言は「好機はすぐに捉えなければ後から捉えることは出来ない」という意味らしい。<時>の意味もある。クロノス<時>だが、クロノスが過去から未来へと一定速度・一定方向で機械的に流れる時間であるのに対し、カイロスは速度が変わったり繰り返したり逆流したり止まったりする、人間の内的な時間だそうだ。上の画像は分かりずらいが球体に翼が生えている。

<機会>という要素と球体フォルテュナを連想させるが、性別が違う。フォルテュナの絵の背景には船や海が描かれている場合があり、風が関係ある。その要素はカイロスにもありそうだ。

右の画像、足首に翼が付いているのはヘルメスを連想させる。ヘルメスフォルテュナは関係あるのだが、それはまたの機会にしよう。

カイロス - Wikipedia
クロノス - Wikipedia
ヘルメース - Wikipedia
フォルトゥーナ - Wikipedia

Posted on 2011/06/21 Tue. 21:29 [edit]

category: 西洋・神話伝説宗教

tag: ギリシア  球体  ギリシア神話  ローマ神話 
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ラヴェンナの怪物 


ravenna2.jpg

ravenna.jpg

 
ラヴェンナの怪物には2パターンある。イタリアのラヴェンナで1512年3月に誕生したという。その一か月後、フランス軍がラヴェンナに侵攻し、大略奪が行われた。この原因が怪物像に転嫁されたらしい。

フランス人による寓意的解釈
角-虚栄、誇り、野心
翼-精神の軽さと気まぐれ、移り気
腕の欠如-善行の不足
猛禽類の足-強欲さ、貪欲さ
膝頭の目-意識が世俗的な事象にしか向いていない、過剰な愛
両性具有-ソドムの民の罪=男色
Yの刻印-瀆聖
十字-救済

勝者の側からの解釈だ。ただの戦争、略奪を「怪物を退治しに行った」ということにしたということか。ありそうなことだ。

参考文献
図説 ヨーロッパ怪物文化誌事典図説 ヨーロッパ怪物文化誌事典
(2005/02)
松平 俊久

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Posted on 2011/06/19 Sun. 16:11 [edit]

category: 西洋・神話伝説宗教

tag: イタリア  フランス  キリスト教 
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ズルヴァン2 

ズルヴァーン ゾロアスター教ズルヴァーン派を継承するミトラ教神学は、神々の頂点、万物の根源に永遠時間神(ズルヴァーン・アルカナ)を置いていた。アイオン(あるいはサエクルム)、クロノス(あるいはサトゥルヌス)などとも呼ばれたが、名前、性別、情念を持たないと考えられていて、呼び名は便宜的、偶発的なものだった。
シンボルの多さ/性格の不確定性
錫杖と雷(いかづち)/至高神
鍵/扉を開く天の主人
ライオンの口/むさぼり喰う時間神の破壊力
翼/行動の迅速さ
蛇/太陽の進路
参考文献:『ミトラの密儀』フランツ・キュモン 平凡社)

 西方では(ミトラス教徒を含めて)ズルヴァンとは呼ばれず、ギリシア語でクロノスとされた。ギリシア語の時間(Chronos)はクロノス神(Kronos)に通づるからである。古代ローマ世界では、クロノスに相当するのはサトゥルヌスであった。このサトゥルヌスについての論文を残した古代のある学者は、この神は「時として超低温のため蛇の姿で、また時として炎熱のために大きく口を開いた獅子の姿で表される」と記している。
 獅子は疑いもなく火を象徴している。ミトラス教の「獅子」位の信者のシンボルの一つは燃料用受け皿であった。
参考文献:『ローマ帝国の神々―光はオリエントより 』(小川英雄 中公新書)

 アルカナと云えば思い出すのはタロットだが、アルカナとはラテン語で秘密、神秘、秘儀という意味らしい。ライオンとか火とか、何か錬金術を連想させる。

過去の記事
ズルヴァン

Posted on 2011/06/17 Fri. 02:46 [edit]

category: 東洋・神話伝説宗教

tag: ミトラ  ペルシア 
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牛を殺すニケ 

牛を殺すニケ 『ローマ帝国の神々―光はオリエントより 』(小川英雄 中公新書)に、「ミトラスの牛殺しを中心とする思想は、キリキアの首都タルソスで成立したが、牛殺しのイコン自体はギリシア美術に伝えられた牛を殺すニケ女神に由来している」とあり、画像を探してみたらあった。推定2世紀のもので大英博物館所蔵。ここでもやはり翼が出てくる。



 小川英雄『ミトラス教』M.J. フェルマースレン 山本書店)、『ミトラの密儀』フランツ・キュモン 平凡社)の訳者で、『ミトラス教研究』の著者だ。

Posted on 2011/06/09 Thu. 23:59 [edit]

category: 西洋・神話伝説宗教

tag: ミトラ  ペルシア  ニケ  ギリシア神話 
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ミトラ 

ミトラ ペルシア人の祖先とインド人の祖先がまだひとつだった遠い昔からミトラ信仰はあった。ミトラ教はゾロアスター教(マズダー教)の一流派で、古代ローマ帝国で流行し、キリスト教と覇を争ったが、負けた。

 過去の記事『ズルヴァン』『世界卵から生まれるパネス』と関係あるので『ミトラの密儀』フランツ・キュモン 平凡社)を読んでいる。西洋文化に大きな影響を与えたらしい。この本ではズルヴァンもパネスも「クロノス」と書いてある。「クロノス」にも二種類あり、また別の機会にまとめたい。

 まずは松岡正剛の平易な文章を先に読んだ方がいいかもしれない。
『ミトラス教』
『ゾロアスター教』

 詳しいサイト
神話学 ミトラ神話の基本(新版)――ミトラ神話の神々ほか――

 上の画像はシドン出土の浮彫(ルーヴル美術館蔵)の、犬、蛇、蠍、烏を従えた牛を殺すミトラ。上方には太陽神と月神、四隅には四季(風)の神の姿があり、周囲を黄道十二宮が取り巻く。

 見ての通り、ミトラは有翼人ではない。だが、持っている要素に有翼人を連想させるものが多々ある。下記の項目は『ミトラの密儀』に記述があるもの、その下は私の勝手な連想で、関係があるかどうかは分からない。

*ミトラは天の光の精霊である(アヴェスター:ゾロアスター教の根本教典)
 光と云えば、堕天使ルシファーの名は「暁の輝ける子」という意味だ。

*ミトラは真実と忠誠の神、誓約の際に祈願され、契約を保証し、誓いに背いた者を罰する神となった(アヴェスター)
 懲罰と云えばネメシスを連想させる。

*ミトラは戦士たちの保護者として、<勝利>の神の相棒となった(アヴェスター)
 勝利と云えばウィクトリアを連想させる。

*ミトラはアフラマズダー(善神)とアフリマン(悪神)の中間を占め、別の説では中間を占めているのは風/気
 四つの風は西風ゼピュロス、南風ノトス、東風エウロス、北風ボレアス。ボレアスについては過去の記事に書いたことがある。有翼人として描かれている。他の風についても今後調べる。

*共和制時代からローマではさまざまな名前の下に「ローマ人」の好運が崇拝されていて、この古い民族信仰は早くからオリエントの信仰に染まった。それぞれの都市も神格化された<運命>を崇拝した。
 好運、運命と云えばフォルテュナを連想させる。

*ミトラ教で崇拝される、<時>の体現者クロノス
 過去の記事『ズルヴァン』『世界卵から生まれるパネス』参照。両方有翼人だ。足が偶蹄というのは、頭と足がヤギで黒い翼のあるサタンの図像を連想させる。上記のルシファーといい、ミトラ教はキリスト教と争って負けたことと関係あるのだろうか? 神話を題材にした絵でクロノスは時の翁、有翼の老人として描かれる場合がある。
 
 *ギリシアの神統記と同じ、ミトラ教の伝承はゼウスが世界の統治において初期の時代の王クロノスを継承したと告げていた。浮彫が示すところでは、このマズダー教のサトゥルヌスは自分の息子にその至高の権力のしるしである雷を手渡している。
 クロノス、サトゥルヌスと関係あるメランコリアの絵に有翼人が色々ある。(デューラー「メレンコリアⅠ」クラナッハ「メランコリア」「考える人」のポーズ
 
 謎が多くて手強い。これからも調査を続ける。

Posted on 2011/06/08 Wed. 01:12 [edit]

category: 東洋・神話伝説宗教

tag: ミトラ  ペルシア 
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かくれキリシタンの受胎告知 

受胎告知1 受胎告知2

 『かくれキリシタンの聖画』中城忠 谷川健一 小学館)には御神体が色々載っている。ほとんどが素朴な絵だ。受胎告知をモチーフとするお掛け絵は、生月島内では、舘浦地区のK家に伝存する二点のみ、左が古い方、右が新しい方だ。この本に載っている有翼人の絵も二点のみ。

 上に描かれているのは天主デウス。マリアの胸元に幼子が描いてあるのは、描き加えられたか受胎を象徴的に表したものと『かくれキリシタンの聖画』に書いてあるが、最初見たとき後者の解釈のように感じた。

 西洋絵画の受胎告知の天使は中性的だが、この大天使ガブリエルは男らしい。西洋絵画ではマリアは驚いていたり手を合わせている絵が多く、腹に手を添えているというのは見かけない。探せばあるかもしれないが、ざっと見たところなかった。

Posted on 2011/06/03 Fri. 21:24 [edit]

category: 東洋・神話伝説宗教

tag: 日本  キリスト教  天使 
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